シベリア鉄道に乗った、その2

前回を書いてから既に1か月以上経ってしまって、もはや備忘録の体をなしていないが、思い出しつつ。

 

シベリア鉄道というとやはりあの国旗と同じカラーの車両の印象が非常に強く、曇天の中これから乗るぞという車両が何だか冴えないものだったのは、なんだかなぁという気分であった。

ウラジオストクから長距離移動する車両は、モスクワまで行く代表的な列車1,2列車「ロシア号」とノヴォシビルスクまで行く7,8列車の隔日運行である。私が乗ったのは7,8列車。何せ値段が全く違う。ロシア号の一等車に乗ったとしたら5万は下らなかっただろうし、多少車両が冴えなくても仕方のないことだった。

 

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雨の降る中2人部屋を独り占めしてぼんやり出発の時を待つ。直前に切符を取ったため、同行者と同じ部屋でイルクーツクまでというわけにはいかなかったが、結局この後イルクーツクを降りる直前のウランウデまでコンパートメントに同乗客がやってくることはなかった。シベリア鉄道での異文化交流とは一体何だったのか。まぁ引きこもりオタクなので、結果的には快適で良かったけど。

 

最初のうちは雨で外も楽しくないし、ひたすらKindleARIAいちご100%を読んでいた。どうでもいいけど、皆西野好きすぎない?僕は今も昔も北大路が大好きです。

ARIA読んで、うわヴェネツィア行きてーと思って航空券を調べたりして、アイルランド行きを辞めるかどうか悩んだりもした。結果としてアイルランドにどうしても飲んでみたいウイスキーがあったので断念したけど、行き先決めずに旅行ができるのって本当に自由で楽しい。

 

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そんなこんなでいつの間にか寝てて、起きて一番に目に入った光景はこれだった。

「うわ・・・なんかモンゴルっぽい。」

アホみたいな感想しか抱けなかったけど、1時間くらいはずっとこんな感じの風景を眺めて、シベリア鉄道乗ってんだなーとしみじみ感慨に浸っていた。1時間ずっと一面草だと流石に飽きてきたので、いちご100%の続きを読み始めた。

 

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暗くなってお腹も減ってきたので、同行者を部屋に呼んで晩飯を食う。ウラジオストクで買い込んだインスタント類。値段も他に比べて若干高かったけど、やっぱり日本のインスタント食品は美味い。ロシアのカップ麺は、、、ひたすらに辛かった。

 

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晩飯を食べてるうちに、ハバロフスクに到着した。駅から見える街並みはネオンライトが煌々としていて、現代的というには少し古臭い街並みではあるが、これまでのモンゴル感しかない風景よりは多少ロシアっぽさを感じた。ウラジオストクハバロフスクイルクーツク、どれも現代的というよりは少し古い70,80年代的な感じだった。その当時を生きてるわけではないから語弊があるかもしれないけど。

これまたアホっぽい感想になるが、どの都市に降り立った時でも私の感想は「うわ・・・グラセフっぽい。」だった。ロシアでグラセフっぽい、はなんだかシャレにならない。

外は多少肌寒いというくらいで、いくらロシアといえども夏はこんなもんかって感じだった。降りて煙草を同行者にもらう。一本くれとおっさんに話しかけられる。後にも先にも、これだけがロシアで体験した異文化交流だった。

 

再び起きると景色はモンゴルに逆戻りだった。というかむしろここからバイカル湖まで、ずっとモンゴルだった。三日三晩モンゴルだった。

 

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2日目の昼頃(?)に食事が運ばれてくる。これは食事と呼ぶに値するかどうかは個人の見解次第というところがあるが、これほどまでにフレッシュさを感じない生野菜は初めてだった。それもまぁ、旅行らしいといえば旅行らしい。写真に残ってはなかったけど、メインディッシュはなんかよくわかんないミンチ肉を、よくわかんないものでつないだよくわかんない食べ物だった。日本では絶対に味わえないだろうけど、意外と美味しくはあった。

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一面草には変わりないが、夕暮れは綺麗だった。ここら辺からもう今が何時なのかが分からなくなってくる。というのも、シベリア鉄道ほど横に長いと移動中に時差の境界線を突っ切ってしまうので、鉄道内の時間はモスクワ時間に合わせているのだ。ど深夜の表示なのにお昼前だったり、夕方頃の表示なのに真っ暗だったり、何が何だか分からなくなってくる。気にせずKindleいちご100%の続きを読む。

 

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ちょこちょこと停車するので、なんとなく外に降りて風景を見てみるが、こんなところで普段から生活を送ってる人間がいる、という事実と、もしこんなところで生まれていたら・・・と考えたりしてぞっとした。

ハバロフスクを過ぎるとチタまでは本当に小さい駅ばかりで、景色も変わり映えがないので、KindleiPadに入れてきたガルパン劇場版を観るばかりだった。旅行前は、コンパートメントの同乗客であるロシア人に上坂すみれさんのロシア語を聞かせて、実際のところどうなん??って聞くやつをやるつもりでウキウキしていたのに、蓋を開けてみれば一人の部屋でガルパンを見ている。。。これでは日本にいる時と何も変わらないではないか!!

思い立って部屋を出て車両連結部分に行ったら、車掌が職務を怠慢しながら禁煙であるシベリア鉄道でスパスパ煙草を吸ってるところを目撃した。睨まれた。部屋に戻っていちご100%を読んだ。

 

その後また別の駅で煙草を吸ってる時に車掌と若干話してわかったが、どうやらその時は自分のことを中国人と勘違いして睨んだのだそうな、日本人と分かるやいなや凄い笑顔で話しかけてきた。何を言ってんだかさっぱり分からない速度で話されたので、とりあえず笑っておいた。

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3日目だか4日目になって、チタという比較的大きな都市に停車。名前の響きが似ているから、知多と姉妹都市らしい。まさか知多よりも先にチタに訪れることになるとは思わなかった。知多ウイスキー、結構好きです。ソーダで割る分には。

 

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もうイルクーツクまで1日を切ったというところで食糧がつき、列車を見て回ったらすぐ隣の車両に食堂車があったので入ってみた。これまた、ロシア号に比べると絢爛さは劣るが、まぁ綺麗だった。

ウラジオストクで酒を買い忘れて3,4日ほど禁酒状態だったので、とりあえずビールを頼む。

「ないよ」

気を取り直してワインを頼む

「ないよ」

まさか・・・と思いつつウォッカを頼む

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ティーカップで出てきた。。。これは舐められていたのか、ロシアとはそういう適当な国なのか。定かではないけど、本当にウォッカしかないんだ・・・。食事には絶望的に合わなかったが、ストレートで飲んでも美味しかった。なかなかこんなウォッカは飲んだことがない。初めてアブソルートエリクス飲んだ時に覚えた感動だった。

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食事もきちんと温かいものが出てきた。キッチンでちゃんと調理していた。あの生野菜は何だったんだ。

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食ってるうちにウランウデに到着した。一度飲んだら一杯じゃ止められないので駅に降りてビールを買う。まぁ、普通のラガービールだった。美味いも不味いもない、カールスバーグに味は似てた。ここで、コンパートメントに中国人が乗ってきた。一等車に乗るだけあってちゃんと英語も話せて、教養がある人だった。適当に世間話して酒飲んで寝た。

 

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起きたら見えたのはバイカル湖だった。対岸の都市はおそらくリストビヤンカであろう。流石に一面草ばかりの景色ばかり見てきたので、湖面にテンションが上がってしまった。

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そして遂にイルクーツクに到着。朝の6時に列車を放り出されて、さてどうするかと考える。考える・・・考え、考えられない程寒かった。それもそのはず気温は7℃、とても9月上旬の気温とは思えない。震えながら、タクシーを拾ってホテルへ向かう。

この選択が最大の過ちであった。気が向いたらまたその3に。