最近飲んだ酒
備忘録ですが、新生活移行の為にわりと時が経過していて既に備忘録のていを成していなかったり。
昨年末の話なのでもはや最近ですらないんですが、宮城峡蒸溜所に行ってきました。見学もしてきて、山崎と比べると(住んでた所が近かった為よく行っていた)ポットスチルなどの説明に力を入れていて、樽熟の部分に関してはそこまで深くなかったり、まぁ実際ニッカの製品とサントリーの製品をそれぞれ飲み比べて感じる力の入れどころの違いに、納得するようなそんな感じの見学コースでした。
改めて竹鶴21年を飲んで思うのは、やっぱあんまりこういう苦い感じのピートは得意でないなぁという。対して、鶴17年の後味は、ややその手のピートの味はありつつも比較的スッキリ軽めに仕上げられてて個人的には飲みやすく感じました。ただ、もう市販はされていないので、蒸留所限定の鶴は鶴17年とどれほど違うのかと飲み比べて見ると、やはり余韻は17年よりもかなりビターに仕上がっていて購入には至りませんでした。が、むしろ蒸留所限定の鶴の方が好き、という人がいてもおかしくはないのかな、とも。
・SIGNATORY ブローラ 1981 18yo 43%
1981のブローラってよく見かけるけど飲むのは初めて、というかブローラ自体初めてでした。シェリーバットではあるもののあんまりその影響は感じず、クライヌリッシュっぽい粘性に強めなピート感がある感じ。アイラのようにヨードっぽい訳でもないけど、上記の竹鶴とかハイランドパークとかにあるようなビターなピートでもなくて好き。
申、酉、戌と出ている干支ラベル。ここから残り9年出し切るのだろうか。特徴的な栗のような甘みや香りはかなり好きなんですが、いかんせんまだ最長でも10年に満たない熟成年数しか持たない秩父は、ボトルによってかなり好みが分かれます。(こういう限定商品みたいな形でシングルカスクを出すから特になんでしょうが)
その中ではこのボトルはかなりそういう短熟のアタックの強い感、悪くいえば粗さが樽で抑えられているような。かといって、そこまで秩父らしさも感じなくて、不思議なクリームのような甘さと滑らかさを感じました。
お店のマスター曰く、クリームシェリーの樽で熟成させているんじゃないかなぁとのことで、なるほど納得。
・THE WHISKY AGENCY ティーニニック1973 43yo - Nagomi - FOR SHINANOYA PRIVATE BOTTLING 10th ANNIVERSARY 50.8%
THE PERFECT DRAMでも出ていたティーニニック1973。そちらの方は飲んだことないけど、ミーハーなので信濃屋の10th ANNIVERSARYは抑えておきたいと思って飲んでみました。銘柄もなかなか珍しいティーニニック、ハイランドなんですね。飲んでみてもあんまりそういう印象は受けませんでしたが、香りからもう黄桃やマンゴーのようなトロピカルフルーツ、味も素晴らしく余韻に熟成の長いシェリー特有の樽感があって、文句なし。いわゆる近年系とは一線を画す、どシェリーではないけど余韻に感じるスパイスやナッツがたまらん。
・イチローズモルト 秩父 7yo ウイスキー祭2018 59.6%
2017のフィノを飲んだ時には感動して、それまで特に秩父には美味しいという感想を持ったことがなかったので、2018も飲んでみました。酉のように予想ではなく、明確にクリームシェリーカスクと明かされていますが、期待したようなそれ由来の滑らかさなどはなく、良く言えばアタックの強い、正直なところドライすぎてちょっと荒いかなと思うような感じでした。
去年のフィノといえばシェリーとしては辛口で、むしろクリームシェリーホグスヘッドの方がああいう味わいになるんじゃないかなと予想していたんですが、樽熟とは不思議なものです。いつぞや飲んだファークラス1966フィノカスクにも、不思議な甘さとクリームのような滑らかさがあり、逆にPXやクリームシェリーのようなカスクでそんな味わいに出会ったことはありません。謎。
・グレンファークラス 1987 30yo ファイナルファンタジー30周年記念ボトル 45.4%
わりとツンとした感じの香りだなぁと思いました。こういう香りで味わいがスパイシーに長く続くと、個人的にあまり他の要素が感じられなくなってしまい、そこまで好きではありません。とはいえ近年系のシェリーカスクではかなり美味しい。
・グレンファークラス 1987 30yo サイレンスバー30周年記念ボトル 44.5%
対してこちらは、ウッディでえぐみはあるものの、ドライフルーツ感が良く、嫌じゃないタンニンのビターな感じが余韻で続きます。似た時期の似たカスクでこれだけ違うのは凄いなぁと。サイレンスバーには一度行ってみたいです、地方の名店って憧れますよね。
・That Boutique-y Whisky Company Secret Distillery(多分グレンファークラス) 55.4%
マスターモルトのブティックウイスキー、なかなか日本では見かけないので見つけた時に注文してみたくなった。ボトルの値段も最初見ると、お?安いのでは?と思うけど良く見てみるとこのボトルって500mlなんですよね。
シークレットとはいうものの、スペイサイドの有名な家族経営の〜ときたらまぁファークラスでしょう。熟成年数も書いてないけどかなり色濃いんで、どんなもんかと飲んでみたら、どっぷりシェリーであまり複雑味はない感じ、熟成年数は浅いのかもしれません。面白みがないっちゃないけど、逆にここまで強いのも最近飲んでなかったのでこれはこれで嫌いじゃありません。ネガティブな硫黄感も樽のエグい感じも無くこれだけ濃いのはそれはそれで。
・キングスランサム Round the world 43.2%
4月から引っ越して、東京の田舎の方に住んでいるんですが、その近くの店で発見した、もはや遺物といっても過言ではない、60年代のキングスランサム。Bar レモンハートという漫画でも、幻の銘柄。そんな感じのレア度の高い酒。ポツダム会談の晩餐会で振る舞われたとかそんな逸話もあるそうで。
ブレンデットで、キーにはエドラダワー。いかれた熟成方法として、世界一周させる船に樽を乗せて熟成させたそうで、"ROUND THE WORLD"と名付けられています。
60年代のウイスキーを飲むと、本当なんだか悲しくなってくるくらい美味しいです。甘く上品なシェリーの香りと甘み、エドラダワーと言われて納得のクリーム感。60年代なのでパフューミーな感じは一切なく、カラメルのような甘みもあるけど、余韻はわりとウッディな感じで締まりくどさはない。
古いマッカランは飲んだことないんですけど、マッカランがウイスキーのロールスロイスって言われていたのも、こういった香味やスムース感があるのかなと気になったり。
・カロニ 1997 20yo For Bar Lamp, Rum and Whisky & Bar Rummy Supported by SHINANOYA 62.0%
ウイスキー以上にラムにもハマっていたり。とはいえカロニはもはや閉鎖蒸留所なので初めて飲みました。銀座のLamp、京都のRum and Whisky、福岡のBar Rummyというラムに力を入れている3店が樽を選んだジョイントボトル。信濃屋からのプライベートボトリングなので、ウイスキーマニアにもオススメというような樽を選んだっぽいです。
実際、ウイスキーではなかなか高価になりがちなトロピカルフレーバーは、ラムでは比較的安価なものでも感じやすく、オススメです。
黄桃の香り、プラムのような若干の酸味のある果実味と、少し紅茶のような味わいも。これまで好きだったNew GroveやSAVANNAなどのようにエステリーなトロピカルフレーバーとはまた少し違いますが、これはこれでかなり美味しい。
・La Maison du Whisky&VELIER カロニ 1996 21yo 57.18%
こちらもカロニです、LMdWとイタリアのヴェリエというボトラーのジョイントボトルのようですが、こちらは少しだけ溶剤っぽさが強く、うーんという味わいでもあるんですが、この果実香とバニラっぽい感じはなかなか。
・Marc de Bourgogne Domaine Jeannin Neltet 2003 43%
趣向を変えてマールなんて飲んでみたり。そこまで高価なものではないんですが、かなり美味しかったです。
最初の香りは、紹興酒やオロロソのようななんつーか、なんともいえないアルコールの香りなんですが、徐々に開いてくると紅茶のようなニュアンスに近づいてきます。
味も、最初はよくある、少し干し草っぽいような味わいだなぁと思っていたのですが開いてくるとミドルにあるナッツ感と余韻のレーズン感にびっくり。後味に感じるレーズンは、ウイスキーなどでいうようなもんとは違って、本当にレーズンを食べた後と同じような感覚に。流石に原料からして葡萄(の絞りかす)なだけはあります。
なかなか輸入の関係で日本に入ってこないのと、ロマネコンティなんかになってくると馬鹿げた値段になってくるから飲めてませんが、最高級の品は一体どんな味わいになってしまうやら。
・ロマーノ・レヴィ ハート
またしても趣向を変え、グラッパ。しかもロマーノ・レヴィ。飲める機会に出会えたことをただただ嬉しく思うほかありません。
味わいはまぁ想像に違わない、ぶどうの香味、少し干し草のような香り。ですが、もうそのクオリティはこれまで飲んできたそれの遥かに上を行き、しみじみ美味いなぁと思うばかり。ただ、先ほどのマールと比べると、グレードが上なだけあってシンプルに美味いんだけど、あまり香りや味が開くとかいう感じはなく時間をかけて飲んでも変化はありませんでした。
・ブルイックラディ 1964 32yo 49.5%
60年代のラディというのは全く飲んだことがなくて、味の想像もつきませんでした。今のあのなんだかポップで現代的なボトルとは違って、、ていうかこれよくみるとブラックアダーなのか。
60年代のラディはアイラなのにノンピートという少し不思議な感じ。シェリーカスクとはいえ超ダークな色合いで、飲む前から期待が高まります。噂に聞きし、りんごのような味わいを確かに感じ、そこにカカオのパーセンテージの高いチョコレートのような深い甘みと酸味がきます。色はめちゃくちゃ濃いのに樽のエグみはなく、時間が経つにつれて開けてくると60年代アイラの南国系フレーバーがどんどんと。ボウモアには確かなピーチを感じましたが、こちらには少しマンゴーのような感じもありますね。面白い。
・GM ロングモーン 1969 39yo 55.4%
60年代のロングモーンってのも今やなかなかお目にかかる機会すらないですが、こんな機会に恵まれて...。
こちらも南国フレーバーありありでもうほんと筆舌に尽くしがたいんですが、ラディよりもっと麦麦しい感じからくるパッションフルーツ感もあって、個人的にはこちらの方が好きかもしれないです。最初から白桃、バナナ、凄いなぁという感じだったけど、もったいぶりながら時間をかけて飲むにつれて開いてどんどんその果実香が強くなってきて、なんで原料は麦芽なのにこういう味わいになってくるんだろうと今更ながらしみじみ不思議に思うのでした。
・デュポン 1967 50yo 41%
ウイスキーはやっぱ美味いな、となったところで60年代ロングモーンを飲んだ後にウイスキーは飲めんと思い、再び趣向を変えてカルヴァドス。
カルヴァドス含め、ブランデーの面白い/凄いところは、ゆうに50年を超えるような熟成年数にも耐えるというか、そこからまた1段変化があるというところです。ウイスキーはなかなか半世紀を超えるような熟成には原酒が耐えきれず、弱々しい味わいになってしまうこともしばしば。長く寝かせりゃ良いってもんでもないんですね。対してブランデーは全然耐えるし、飲もうと思えば(そんな金どこにある、っちゅう話ですが)、日本はまだ江戸時代!!というような時代のブランデーだって飲めたりするんです。すごーい。
カルヴァドスも長熟になってくると樽由来のタンニンが出てきますが、原料がりんごなだけあって、コニャックやシェリーカスクのウイスキーに感じるような葡萄味のあるタンニンじゃないからユニークでかなり好きです。香り、味ともにたまらんのだけど、これを文章にしたためるほどカルヴァドスを飲めていないのが現実。じゃあ何のための備忘録なんだか。
・ルイス・フェリペ グランレゼルヴァ 60yo
スペインブランデーです。60年といってもソレラシステムなので平均60年っていうことなんですが、まぁ。
フランスやイタリアに比べるとスペインはやはり暑い地域なので、ワインも酒精強化でめちゃ甘めのが多いですし、スペイン領のラムもめちゃくちゃ甘みがありますよね。このブランデーも違わずクッソ甘いです。ペドロヒメネス種のワインを蒸留して、濃厚〜〜!!な葡萄の甘みと、軽い酸味、軽くエステリーで葡萄とは違った果実香を感じるのも面白いところです。開くと一段と甘みが強まり、これぞPXだなぁという感じ。余韻も長く続きますが、甘ったるいわけじゃなくて、ちゃんとタンニンで締まるところが長熟の素晴らしいところですね。