『あさひなぐ』23巻の感想

 本誌でも読んでるんですけど、ゆっくりまとめて読むと凄く綺麗に物語を繋げているんだなっていう話。ネタバレを含みます。

 

 21巻で因縁の相手、1巻から打倒を目標としてきた一堂寧々/國陵に勝利。しかし絶対的エース宮路真春の故障という大きな問題を抱えながら、二ツ坂は団体でのインターハイ本選への切符を手に入れます。22,23巻では、二ツ坂高校からは旭と夏之の2人だけがエントリーした関東大会が繰り広げられます。

 

 22巻の最後254話と23巻は順に

・やす子の過去話

・旭 vs. 摂

・國陵3年生の引退試合

・男子個人戦

と展開されていきます。

 

 高校時代という青春の全てをなぎなたに捧げる少女たち、その物語であり、21巻の時点である意味そのピークを迎えたと言っても過言ではありません。(当然、熊本東をはじめとした強豪校との戦いはまだあるんでしょうけど、旭のストーリーとして団体戦とはいえ一堂寧々というライバルと戦い、そして勝利したというのはこれ以上ない盛り上がりどころだと思うのです。)

 しかし関東大会を通して、過去に前十字靭帯断裂を抱えたチームメイトに無理をさせ選手生命を絶たせてしまい、なぎなたから逃げたやす子。選手生命が絶たれた後、出雲英豊(選抜団体全国優勝の高校)の指導者となっている山吹。喘息持ちの、部活として一瞬に全力を注ぐのではなく、一生をなぎなたと共にあろうとする摂を描くことによって、前十字靭帯断裂という選手生命を脅かす怪我を抱えた真春や、ただがむしゃらに目の前のことに全力でやってきた旭に、『高校部活のなぎなた』だけでないその先を考えさせます。この話によって『熱い青春部活漫画』を超えて、生き方・在り方の物語になりました。

 その先が何であるのか、旭は『一瞬考えてまた熱気の中に(高校部活のなぎなた)に引き戻され』て、國陵の団体戦寒河江と三須の引退試合や乃木進太郎の引退試合へとストーリーは続きます。國陵にしても乃木にしても丁寧にキャラクターが描かれてきたので、その引退試合の涙は避けられません。彼らが部活としてやってきて「なぎなた部」や「表彰状とトロフィー」など残った形も、それだけで感動なんですけど、「その先」の話によってもっと奥行きのあるものになっているような気がします。

 

 個人的に、最終的にプロになってお金を稼ぐことになる可能性が限りなく低いのに「部活」ってものに全力を注ぐことはできなかったし、注ぐ意味もよくわかりませんでした。『全力を注いだことは自信となり、その後に人生の大きな支えに〜』みたいなことを全うに受け止められてたら、こんな捻くれクソオタクになんかなってないのです。まぁ、だからこそなんかそれに全力を注ぐ青春は儚くて美しい、という感じもして漫画として読むのは好きなんですが。摂の『ごはんを食べたり、本を読んだり、手紙を書くみたいに、薙刀を続けていきたいのです。』というセリフに、1つの解を得たような気分になりました。

 

夏之の復帰戦は、もうなんか、舞台版でのあれそれもあって本当ちょっとエモ過ぎて書くのが無理なので書けませんでした。

 

さて、舞台版のLVや劇場版の発表に合わせて単行本を発売したことによって、23巻最終話が本誌でつい2週前に連載されていたなんて状況になっているので、単行本で読むことになるのはだいぶ先になりそうですが、本誌で始まった熊本東編も楽しみですね。熊本東や出雲英豊などのキャラクターが描かれていくのであれば、インターハイ本選編もまた楽しみです。